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NO.22
発想

立場が違うと、物事のみえかたも変わってきます。今回は、ちょっとした心がけが気持ちを豊かにするお話です。

『うらなり』(小林信彦作、文藝春秋)という小説。有名な漱石の『坊ちゃん』に登場する英語の古賀先生が主人公。教頭の赤シャツ一派にはめられて、マドンナを横取りされ、遠く延岡に飛ばされたあの影の薄い先生だ。話は、「うらなり」が年をとり、昔一緒だった数学の「やまあらし」こと堀田先生と出会って、当時を回想するところから始まる。
 そして、この話に出てくる「坊ちゃん」はと言えば、「うらなり」から見ると大変に影の薄い存在なのだ。東京からやって来て、どういう訳か「うらなり」の味方になり、けんかをし、赤シャツ一派に卵を投げつけ、辞めなくてもいい学校を自らあっさりと辞めてしまう。
 「うらなり」から見ればそんな経緯は知らないのだから、なかなか名前も思い出せない影の薄い数学教師。「うらなり」は、坊っちゃんのことを「五分刈り」と呼び、かすかに覚えているだけの存在だ。
 全く逆の立場から物事をみるとこんなふうになるのかと大変に興味をそそられる面白い小説であった。偶然にもこれから松山に出掛けようとするちょっとの間に、羽田の書店で見つけた本である。機内で読破。松山空港に到着すると、そこで「坊ちゃん百年」という宣伝文句に出会った。作品ができて今年が百年目だそうだ。
 話は変わるが、我が図工部が主催する「図工会議」。研究会にしてはその名称も変わっているが、やることも変わっている。先の旅から帰ってみると、この「図工会議」が開催されていた。
 その中身はバスツアー。まずは、目黒にある「日本寄生虫会館」へ。あらゆる寄生虫が展示される。ずいぶん気味の悪いところだ。意外にもここは若者のデートスポット。まあ、見方によっては面白いところでもある。そして次に、浅草で「大衆演劇」を観てその面白さを満喫し、最後に「近代美術館」へ出向いたという。参加者は、美術間に行く前に、散々と発想の転換を迫られ、きっと美術作品を観るに至ったときには、新鮮な目を育まれていたのではなかろうか。
 何事も発想の転換で脳が活性化する。